
老朽化したテント倉庫の張り替え、もしくは新規導入を検討する際、まず気になるのは「あと何年くらい使えるのか」という点ではないでしょうか。そこで今回は、テント倉庫の耐用年数について、詳しく解説します。「法定耐用年数」と「実際の寿命」の違いや、テント倉庫を長持ちさせるコツも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
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国土交通省告示第667号の基準を満たすと建築確認審査が緩和される
テント倉庫の法定耐用年数は17年・24年・31年に分かれる

まずは税務上の基準である「法定耐用年数」について見ていきましょう。国税庁の公表している「主な減価償却資産の耐用年数表」には、「テント倉庫」という独立した区分はありません。しかし、テント倉庫は「鉄骨で骨組みを構成する建物」であるため、税務上は「建物>金属造のもの>工場用・倉庫用のもの(一般用)」として扱います。この区分では、骨格材の肉厚に応じて、次のように耐用年数が定められています。
| 骨格材の肉厚 | 法定耐用年数 |
| 4mmを超えるもの | 31年 |
| 3mmを超え、4mm以下のもの | 24年 |
| 3mm以下のもの | 17年 |
骨格材の肉厚は、施工業者に聞く、もしくは設計図書を確認してみてください。なお、テント倉庫の用途が工場用・倉庫用以外、たとえば車庫用の場合などは、法定耐用年数が異なります。税務申告時に、法定耐用年数を何年として計上するかは、顧問税理士へ確認してみてください。
法定耐用年数と実際の使用年数は異なる
さて、先述した「法定耐用年数」は、必ずしも「実際にテント倉庫を使用できる年数」であるとは限りません。たとえば、骨格材の肉厚が3mm以下のテント倉庫の法定耐用年数は17年ですが、設置環境によっては20年程度使える可能性もあります。ここからは、法定耐用年数をどのように捉えればいいのか、詳しく見ていきましょう。
法定耐用年数は税務上の計算基準
そもそも法定耐用年数とは、減価償却費を計算するために税法で定められた年数のことです。建物や設備の取得費用を一度に経費計上するのではなく、一定期間に分けて計上するための基準として設定されています。そのため、建物が実際に何年使用できるかを示す年数ではありません。
法定耐用年数を超えたからといって、すぐに建物が使えなくなるわけではありません。適切な点検やメンテナンスを行えば、法定耐用年数を超えて長期間使用できるケースもあります。一方で、使用環境や管理状況によっては、法定耐用年数よりも早く劣化が進むこともあります。
法定耐用年数が長いほど、毎年の経費計上額は少なくなる
減価償却の計算方法には、毎年同じ金額を減価償却費として計上する「定額法」と、帳簿価額に一定の償却率を掛けて毎年の減価償却費を計算する「定率法」があります。ただし、法人が取得した建物については、減価償却の方法として定額法のみが適用されます。
一例として、500万円のテント倉庫を取得した場合、毎年どのくらいの経費を計上できるのか見てみましょう。
| 骨格材の肉厚 | 法定耐用年数 | 年間償却費 |
| 4mmを超えるもの | 31年 | 16.5万円 |
| 3mmを超え、4mm以下のもの | 24年 | 21万円 |
| 3mm以下のもの | 17年 | 29.5万円 |
このように、耐用年数が長いと、年間費用計上額は少なくなることが特徴です。
テント倉庫は実際に何年使えるのか
テント倉庫の法定耐用年数は17年・24年・31年ですが、実際には何年くらい使えるのか、気になる方も多いでしょう。実はテント倉庫の実耐用年数は、部材ごとに考える必要があります。
シートの実際の耐用年数は10〜20年が目安
テント倉庫の「シート」の実耐用年数は、素材によって異なりますが、10〜20年程度が目安です。具体的には、一般的なPVC膜材なら10〜15年が目安です。高機能膜材(酸化チタン系・フッ素コーティングなど)なら20年以上使用できるケースもあります。
ただし、これらはあくまで経年劣化を前提とした目安です。この期間内であっても、強風や積雪に伴って破損が生じた場合は、年数に関係なく早めに張り替える必要があります。なお、このようにシートは張り替えが可能なため、膜材の寿命=テント倉庫の寿命ではありません。
鉄骨フレームは30〜40年使用できる
テント倉庫の実耐用年数は、根幹である「鉄骨フレーム」に左右されます。JIS規格鋼材を使用したフレームなら、30〜40年程度は使用できるため、これがテント倉庫の「物理的な寿命」となります。鉄骨フレームを残したまま膜材だけを張り替えれば、コストを抑えてテント倉庫を長く使えるでしょう。
なお、この年数内であっても、鉄骨フレームに錆・腐食があると強度が低下し、地震や強風などをきっかけに倒壊してしまう可能性があるため注意してください。
使用環境により実耐用年数が異なる
ここまで紹介したシート・鉄骨フレームの実耐用年数は、使用環境によっても左右されます。とくに影響が大きい環境要因は、次の3点です。
| 要因 | 概要 |
| 積雪 | 積雪地域は、荷重による膜材の伸び・破断、フレームへの過負荷について考慮が必要 |
| 塩害 | 沿岸部の潮風は、鉄骨の酸化・錆の進行を早めるため注意 |
| 日照時間 | 日照時間が長いエリアだと、UV劣化が膜材に蓄積しやすいため交換頻度が短くなりやすい |
これら立地環境を業者に伝え、適切な仕様を選ぶことも、テント倉庫を長く使うコツの一つです。
テント倉庫と一般倉庫の耐用年数の違い
テント倉庫と、一般的なRC造(鉄筋コンクリート造)・鉄骨造の倉庫で、耐用年数に違いがあるのか気になる方もいるでしょう。RC造の倉庫の法定耐用年数は、38年とされています。一方、鉄骨倉庫は「金属造」であるため、法定耐用年数はテント倉庫と同じ17年・24年・31年のいずれかが適用されます。
初期コストはテント倉庫が圧倒的に安く、張り替えコストを含めたトータルコストも抑えられるため、短期利用・コスト優先ならテント倉庫を、長期固定資産としての役割を重視するなら一般倉庫(RC造・鉄骨造)を選ぶといいでしょう。
テント倉庫の劣化サイン
実耐用年数の目安期間内であっても、劣化を放置すると、倒壊などのトラブルが発生するリスクがあります。ここからは代表的な劣化サインを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
シートに黄変・亀裂・ピンホールが出た
テント倉庫のシートは、鉄骨フレームと比べると劣化が表れやすいため、次のような変化が出ていないか定期的に確認しましょう。
| 黄変(変色) | 紫外線によって表面のコーティングが劣化しているサイン |
| 亀裂(ひび割れ) | 台風や積雪をきっかけに一気に破損する可能性がある |
| ピンホール(針で刺したような穴) | 大きな破損につながる可能性がある 雨水の浸入口にもなりうる |
これらの劣化サインを見つけたら、早めに専門業者へ点検・診断を依頼し、必要に応じて補修、もしくはシートを張り替えるようにしてください。
雨漏りが起きている
雨漏りは、すでにシートのどこかに破れや穴が生じているサインです。保管物が濡れてしまうだけではなく、浸入した雨水によって鉄骨フレームが傷むと、テント倉庫全体の強度に影響することもあります。
初期段階で対処すれば小規模な補修で済むものが放置した結果、大規模な張り替えが必要になるまで事態が悪化するケースもあるため、なるべく早く専門業者へ相談しましょう。なお、シートの破れや穴だけでなく、生地同士のつなぎ目や、鉄骨との固定部分からも雨漏りすることがあるため、異常がないか定期的に確認してみてください。
フレームの歪み・ボルトの錆
鉄骨フレームの異常は、テント倉庫全体の安全性に直結するため、次のようなケースに当てはまる場合は、やはり早めに専門業者へ点検を依頼してください。
| フレームの歪み・変形 | 強風や積雪によって、骨組みが曲がったり傾いたりすることがあります。 目視で明らかな曲がりが確認できる場合、倒壊など重大な事故につながる可能性もあるため要注意です。 |
| ボルトの緩み・錆 | テント倉庫を含む金属造の建物は、ボルトの緩み・錆をきっかけに劣化が進んでいくケースが多いです。 |
これらはシートの劣化に比べると見落とされがちなポイントですが、ぜひ注意してみてください。
テント倉庫を長持ちさせるポイント
ここからは、テント倉庫の寿命を延ばすために意識すべきポイントを見ていきましょう。日頃から取り組むべきこともあれば、年スパンで考えるべきこともあります。
日常の清掃をしっかり行う
テント倉庫を長持ちさせる基本は、シートを清潔に保つことです。汚れや苔、結露は気づいたときにこまめに取り除くようにしましょう。少なくとも年1〜2回、可能なら3か月に1回程度の頻度で清掃すると、シートの劣化を防ぎやすいです。
なお、高圧洗浄機を使うと、シートを傷めてしまいます。シート表面の砂埃・クモの巣などはホウキで取り除き、汚れは中性洗剤(または専用洗剤)を使ってすすぎ洗いするのがおすすめです。清掃の際は、シートに穴が開いていないかも、あわせて確認してみてください。
年1回の自主点検を行う
1年に1回は、シート・フレーム・基礎の状態を社内でも点検し、異常を見逃さないようにしましょう。主なチェックポイントは次のとおりです。
| シート | 穴・破れがないか 皺・たるみが増えていないか 表面に黄変(変色)がないか(表面のコーティングが劣化していないか) |
| フレーム(骨組み) | 曲がっている箇所、変形している箇所がないか 接合部のボルトに緩み・錆はないか |
| 基礎 | アンカーボルトに緩み・錆はないか ぐらつきはないか ひび割れ(クラック)や欠けなどの異常がないか |
判断に迷う場合は、無理に社内で対処せず、専門業者へ相談してみてください。
5年10年のタイミングで専門点検を依頼する
自主点検に加えて、設置から5年・10年の節目では、専門業者による点検を受けると安心です。とくにシートの実耐用年数は、先述したとおり10〜20年程度であるため、張り替えすべきかどうかもアドバイスしてもらうといいでしょう。
なお、これら節目以外にも、台風・大雪などの自然災害の後は、専門業者に臨時点検を依頼すると安心です。接合部の緩みや、シートの細かな損傷などを早期に発見できれば、被害の拡大を防げるため、結果的に修繕コストも抑えられます。
テント倉庫の導入・更新時に確認すべき法令・安全基準
テント倉庫は手軽に建てられるイメージがあるかもしれませんが、法令上は原則として「建築物」として扱われるため、導入・更新時に順守すべき法令・安全基準が存在します。
床面積10㎡超・都市計画区域内は建築確認申請が必要
テント倉庫を都市計画区域・準都市計画区域内に新設する場合や、床面積10㎡超のテント倉庫を事務所敷地内などに増設する場合には、建築確認申請が必要です。「面積が10㎡以内なら申請不要」と思っている方もいるかもしれません。しかし申請不要なのは、防火地域・準防火地域以外の区域における、合計床面積が10㎡以内の増築・改築・移転のみです。
つまり、更地にテント倉庫を新たに設置する場合は面積に関わらず申請が必要ですし、防火地域・準防火地域内では10㎡以内の増築であっても申請しなければなりません。
危険物・可燃物を保管する場合は消火設備の設置が必要
テント倉庫は消防法上も建築物であるため、面積に応じて、次のような消防設備を設置するよう義務付けられています。
- 500㎡未満:消火器
- 500㎡以上:消火器・火災報知器
- 700㎡以上:消火器・火災報知器・屋内消火栓(緩和要件あり)
さらに、上記より面積が狭いとしても、危険物(ガソリンなど)や指定可燃物(紙類・木材など)を保管する場合、消火設備の設置や消防署への届出が必要になります。保管物の種類・数量によって必要な設備や手続きは異なるため、計画段階から所轄の消防署に確認しておきましょう。
国土交通省告示第667号の基準を満たすと建築確認審査が緩和される
テント倉庫を建てる際に押さえておきたいのが、国土交通省告示第667号による緩和措置です。この告示の適用条件としては、次のような点が挙げられます。
- 階数が1
- 延べ面積が1,000㎡以下
- 軒の高さが5m以下
- 屋根の形式が切妻屋根面・片流れ屋根面・円弧屋根面のいずれか
その他の細かな条件を満たしている場合、一般的な建築物で必要とされる構造計算の適合性判定などを省略できます。このため、テント倉庫は低コスト・短工期で建築できるのです。テント倉庫を選ぶ際は、この基準を満たしているかも確認してみてください。
テント倉庫の耐用年数を踏まえた導入方法
最後にここまでの内容を踏まえ、耐用年数やコスト、法令面まで考慮したテント倉庫の導入手順について見ていきましょう。
1.使用目的と必要な耐用年数を整理する
まずは、テント倉庫を「何のために」「何年くらい」使う想定なのかを整理しましょう。一時的な保管スペースとして数年使えればよいのか、それとも十年以上にわたって使い続けたいのかによって、選ぶべき仕様や構造が左右されるためです。
ちなみに想定使用期間が短い場合は、スピーディーに設営・撤去できる「伸縮移動式テント」も選択肢になりえます。とくに建設現場やイベントなどで使うテントには、伸縮移動式がおすすめです。
2.設置場所の環境条件を確認する
次に、テント倉庫を設置する場所の環境条件を確認します。先述したとおり、積雪・塩害・紫外線といった要素は、膜材・鉄骨の劣化スピードに影響するため、何を対策しておくべきか設置前に整理しておくことが大切です。
どのような場所に建てる想定なのか専門業者へ伝えれば、塩害地域なら防錆処理、豪雪地域なら積雪荷重を考慮した仕様など、環境に応じた提案をしてもらえるでしょう。
3.使用環境に合った膜材・骨組みを選定する
設置場所の環境条件を整理したら、それに合った膜材・骨組みを選定します。専門業者からの提案を理解しやすいよう、いくつか選定ポイントを知っておきましょう。
| シート(膜材) | 耐候性があるか(太陽光・雨風に強いか) 防炎材料もしくは不燃材料か(防火地域・準防火地域内に設置する場合はとくに重要) 遮熱性があるか 透光性があるか |
| フレーム(骨組み) | 固定式か、伸縮式か 耐積雪性能が設置エリアに合っているか 耐風性能が設置エリアに合っているか |
4.法定耐用年数や減価償却を確認する
テント倉庫の導入にあたっては、会計上の観点から、短期間で経費計上したいのか、それとも1年あたりの計上額は抑えたいのかも考えてみてください。記事冒頭で触れたとおり、テント倉庫の法定耐用年数は、骨格材の肉厚に応じて決まります。
そのため、もし短期間で費用計上したい場合は、肉厚の薄いテント倉庫を選ぶといった工夫も可能です。(ただし最終的には、耐久性の観点から肉厚を選ぶのがおすすめです)
5.将来的な修繕・張り替え費用も想定する
テント倉庫を設置する際は、導入時の初期費用だけでなく、将来的な修繕・張り替え費用も見込んでおくことが大切です。鉄骨フレームは30年以上使えますが、膜材の寿命は10〜20年程度であるため、建て替え前に少なくとも1回は張り替える必要があるでしょう。
近年は各種資材コストが上昇しているため、具体的な張り替えコストを予測するのは難しいですが、費用が発生することは念頭に置いておくことをおすすめします。
6.建築確認申請の必要性を確認する
テント倉庫の設置に伴って建築確認申請が必要になるかどうかは、設置場所が都市計画区域・準都市計画区域内に該当するか、各市町村がテント倉庫を「建築物」とみなすかどうかによって異なります。
固定方法や設置方法によっては建築物とみなされるケースが多いですが、念のため各市町村の担当者に確認しておくと安心です。とくに移動式テント倉庫については、担当者レベルで判断が分かれることもあります。
7.メンテナンス体制が整った業者を選ぶ
テント倉庫を長く使い続けるためには、定期的な点検・膜材の張り替えといったメンテナンスが欠かせません。そのため施工業者を選ぶ際は、新規設置だけではなく、メンテナンスもサポートしてくれるかどうかも確認してみてください。
なお、大規模な張り替え修繕だけではなく、1m単位でのシート修理に対応している業者なら、より信頼できるでしょう。
8.長期運用を見据えて導入計画を立てる
テント倉庫は、初期費用の安さや工期の短さが魅力ですが、その性能を十分に活かせるかどうかは、導入後の運用に左右されます。10年以上にわたって性能を保つには、定期的な清掃・年1回程度の自主点検などが不可欠なため、誰がどのように維持管理を担うのかまで含めて導入計画を立てましょう。運用面まで見据えた計画を立てておけば、突発的な修繕にもすぐ対応できます。
まとめ
テント倉庫の法定耐用年数は、骨格材の肉厚に応じて17年・24年・31年に区分されます。ただし、法定耐用年数はあくまで減価償却を行うための税務上の基準であり、実際に使用できる年数を示すものではありません。実際の耐用年数は、シートなら10〜20年、鉄骨フレームなら30〜40年程度が目安ですが、メンテナンス状況や設置環境によって大きく変わります。
とくにシートの黄変・亀裂・ピンホール、雨漏り、フレームの歪みやボルトの錆といった劣化のサインが見られる場合は、早めに点検や補修、張り替えを検討しましょう。定期的な清掃や点検を継続することで、テント倉庫をより長く安全に使用できます。 当社も関西・中部・関東エリアを中心に、テント倉庫の張り替え・新設を承っております。こちらのページから、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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